K邸改装デザイン

東京都世田谷区の築約60年の木造平屋住宅の改装。ハウスメーカーによる同じような新築住宅が敷地めいっぱいに建ち並ぶ中、緑に囲まれたその平屋の住宅は異彩を放っていた。オーナーの伯父家族が暮らしていたという家は、一時はアパートへ立て直すという危機も乗り越え、オーナーご家族がこれから暮らして行くことになったという。まだ住めるとはいっても、老朽化の進んだ家を維持し、改装して住むというオーナーご夫妻の価値観にに共感し、改装設計をさせていただくことになった。

まずは最低限の構造の見直しをし、老朽化で耐えられない所のみを新しくし、基本的な平面プラン含め、他はほとんど既存のままとした。

オーナーご夫妻からは、小さいお子さんがいたので、なるべく見通しのきく、明るい室内にしたいとのご要望があったため、一部取れる壁は取り、しかし耐震のため、他の部分で壁を補うようにし、室内は珪藻土で白く塗ることにした。(結局はオーナー自身に珪藻土を塗るのはお願いした。)最小限の改装で、都内には贅沢な木造平屋建ての緑に囲まれた家が復活した。季節の寒暖の影響の受けやすい室内環境は快適とは言い難い部分もあるかとは思うが、自然と隣り合った豊かな生活となるのではないだろうか。新しくて快適な家もいいが、古くても今まで生活してきた人の歴史が積み重ねられた自然に近い住まいというのは子供の成長においても豊かな生活や感性を育てていけるのだと思う。

用途:住宅

建築面積:70㎡

設計:atoa design(藤原 愛)

施工:行方工務店

撮影:atoa design(藤原彩人)